昔々、まだ本当に若かった頃、私たち家族は古い二戸借家に住んでいた。結婚して間もないころ長男が誕生したばかりで、私は家事育児で働くことができず、まだ少ない夫の給料でやり繰りしていた。当時で築30年くらいになる板壁で隣の声が聞こえるような家だった。間取りは、6畳・4、5畳・3畳の3部屋と3畳ほどの台所と和式トイレ、風呂はなし。だから近くの銭湯へ毎日行った。子供が夜泣きなどすると隣に迷惑をかけないかとずいぶん気をもんだものだ。
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北海道の冬は寒いので当時の古い住宅では、水道管を凍らせて水が出なくなることもよくあった。細い道路に面した角に立つ家だったので、車に突っ込まれて、ガラスが割れてもう少しで子供に怪我をさせるというような危うい場面にも遭遇した。あのころは、早くこの環境から脱出したいと夫婦で懸命に働き、やり繰りしていたが、あれから27年夫は病死し、長男は独立して、私はいま高層マンションで一人暮らしをしていて、あの頃のことを懐かしく思い出す。若いころから恵まれた生活よりもかえってあのような少し厳しい生活の方が、人間としての生きる力もつくし、良い思い出になるのかもしれないと思う今日この頃です。